早いもので、10月も今日で終わり、明日から11月ですね。グッと冷え込んできて、いよいよ紅葉の秋ですね。
さて、11月9日(金曜日)と11月10日(土曜日)は前からご連絡していましたが休診させていただきます。
第73回日本大腸肛門病学会が東京の新宿で開催されます。学会に参加して、私も発表してきます。京都に帰ってきて25年、毎年日本大腸肛門病学会に発表してきました。今回の発表は金曜日の午前中です。発表の内容に関して、多くの先生方のご意見を聞いてきたいと思います。また、多くの先生の発表演題を聞いて、今後の診療の役に立つように勉強してきたいと思います。
今回の発表演題名は「血栓性外痔核926例と皮垂1784例の発生部位に関しての類似点及び相違点の検討」です。
抄録を紹介しておきますね。
抄録
当院で経験した血栓性外痔核と皮垂の発生部位に関して類似点及び相違点に関して検討した。【対象】H7年2月からH30年3月までに手術を施行した血栓性外痔核926例、皮垂1784例。【検討項目】血栓性外痔核及び皮垂の発生部位を前後左右に分け、それぞれの男女差及び、発生部位の類似点、相違点を検討した。【結果】血栓性外痔核は、男性は前方42例(8.5%)、後方221例(44.6%)、左方217例(43.7%)、右方16例(3.2%)。女性は前方90例(18.5%)、後方220例(45.3%)、左方173例(35.6%)、右方3例(0.6%)であった。皮垂は、男性は前方164例(29.3%)、後方325例(58.1%)、左方54例(9.7%)、右方16例(2.9%)。女性は前方928例(45.5%)、後方882例(43.2%)、左方182例(8.9%)、右方48例(2.4%)であった。【考察】血栓性外痔核では男女とも左方及び後方の発生が多く、左方及び後方で、男性88.3%、女性80.9%を占めた。これは、内痔核の好発部位の3時と7時に血栓性外痔核ができやすい傾向があると思われる。また男女とも右方の発生率が男性3.2%、女性0.6%と発生頻度が低かった。これは内痔核の好発部位が含まれていないからと思われる。また、男性と比較して女性で前方が多い傾向は、前方は裂肛の好発部位の一つであり、女性では男性と比較して裂肛が多いことも一因であると考える。皮垂では男女とも前方及び後方の発生が多く、男性では87.4%、女性では88.7%を占めた。これは内痔核の発生部位である7時、11時と、裂肛の好発部位である6時と12時が含まれているからだと考える。また皮垂においても右方の発生が、男性2.9%、女性2.4%といずれも発生頻度低かった。これらのことを考えると、血栓性外痔核も皮垂の発生には、内痔核の発生に関連する上直腸動脈の走行や、裂肛による血管損傷による血腫形成や小血栓の発生なども関連しているのではないかと考える。また肛門部の静脈叢において、怒責、硬便、頻回の排便等の物理的圧力によって、血栓性外痔核の発生や自覚症状が出ない程度の小血栓の発生と吸収が繰り返して、皮垂へと進んでいくと考えると、内痔核や裂肛などの肛門疾患の発生部位に血栓性外痔核や皮垂が発生しやすいのではないかと考える。